わんにゃんボランティアとことこ
とことこ歩む、小さな命との大切な時間。心と心がつながる場所
中田ゆうこ 中田みえ
茨城県・行方市を拠点に活動する動物保護団体です。マイペースに、けれど確かな一歩を重ねながら、保護活動を続けています。地域特有の課題にも寄り添いながら、野良猫や犬たちが「家族」として迎えられるための架け橋になることを目指して、1匹1匹に目を向ける丁寧な譲渡を行っています。
また、未来を担う子どもたちへの命の教育にも力を入れており、地域ぐるみで意識を変えていく取り組みにも挑戦中です。
URL:InstagramMap:暮らす
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- 清潔な犬舎
- 次亜塩素酸水システム
Q.まずは、「わんにゃんボランティア とことこ」設立の背景について教えていただけますか?
もともとは行方市で活動していたボランティア団体の1つに所属していましたが、独立するかたちで「とことこ」を立ち上げました。
市がボランティアを募っていた流れもあり、最初は市と連携した活動だったのですが、保護の数が増えるにつれて費用面での課題が出てきて。市では資金の取り扱いが難しいため、しっかり団体として体制を整えていく必要があったんです。
そこから募金も募れるような形に移行して、現在に至ります。
「とことこ」という名前には、マイペースに自分たちの心も癒しながら、少しずつ一緒に歩んでいこうという思いを込めました。音の響きが柔らかくて前向きな感じがするのも気に入っています。
「猫ちゃんやワンちゃんたちが安心して幸せに過ごしていけるように」そんな思いを大切にできる場所にしたいと思っています。
Q.そもそも、保護活動に関わるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
もともと猫が好きで、猫がいるのが当たり前の環境で育ってきて、野良猫や野良犬を保護して育てることも昔からしていました。
そういう生活の中で、ちょうど市役所の方が「野良猫に避妊去勢をしていこう」という動きを見せてくれて。
「あ、行政が動き出したんだ」と感じて、自分にもなにかできるかもしれないと思ったんです。最初はボランティア30人くらいの中の一人として、預かりの役割を担うようになりました。


Q.現在はどのような流れで譲渡を行っているのでしょうか?
基本的には、最長で2週間のトライアル期間を設けています。
ご家庭の環境や先住猫ちゃんとの相性を見ていただきながら、猫ちゃん自身も新しいおうちに慣れていけるかを確認していただく時間です。「この子で大丈夫」と思っていただけた時点で正式な譲渡となります。
中には、数日で「すっかり馴染んでくれました」とご連絡をいただくケースもありますし、ご家庭の様子に応じて無理のない形で進めています。
大切にしているのは、どちらにとっても負担がなく、安心してスタートが切れること。ご不安な点があれば、いつでも相談いただけるようにしています。
Q.とても丁寧に譲渡までの流れを整えていらっしゃるのですね。譲渡の際に大切にされているポイントはなんですか?
1番大事にしているのは、やっぱり「責任を持って最後まで育ててくれるか」です。
都会の団体さんでは二重扉や一人暮らしNGなど厳しい条件があるところも多いのですが、こちらは田舎なので条件を厳しくするとそもそも譲渡先が見つからない。
だからこそ、直接たくさんお話をさせてもらって、その方がどんな方なのかを見ています。
おうちが清潔か、完全室内飼いにしてくれるか、避妊去勢してくれるか、そういった基本的なところを重視しています。
ご高齢の方には、なにかあったときに引き継いでくれる方がいらっしゃるかなども確認させていただいています。

Q.活動をされていて、地域の変化を感じることはありますか?
少しずつではありますが、野良猫の数は減ってきたなと感じます。ただ、春と秋は繁殖期に入るので、どうしてもその時期には増えてしまう。やっぱり根本的な課題は「意識」だと思っています。
特に年配の方は、犬や猫は外にいるものだという考えが根強いんです。夜だけ放してしまったり、避妊去勢をしなかったり。それでまた子どもが生まれて、最終的には捨てられてしまう、という悪循環がある。
まずはそこを変えていきたいですね。
Q.そのために取り組まれている活動があれば教えてください。
教育委員会まで出向いて、子どもたちに向けて命の話ができないかお願いをしたことがあります。ですが、やはり授業時間の調整や資格の問題があって、実現は難しかったです。
その代わりに、笠間の動物指導センターさんが作ってくれた「1匹の猫が1年後には何匹にも増える」というチラシを、市の協力で小中学校に配布してもらいました。
子どもたちに伝えることで、家庭の中でも話題になって、少しずつ意識が変わってくれたらと思っています。

Q.そんな中で、今後の目標として考えていることはありますか?
やっぱり「学校で直接話すこと」が1番の目標です。命の大切さや、動物と暮らすということの責任について、子どもたち自身にしっかり伝えたいんです。
小さいうちからそういう意識を持ってもらえたら、その子たちからおじいちゃんおばあちゃんへ伝えていくこともできると思うんです。
もう1つの目標は、シェルターを作ること。今は自宅で保護していますが、将来的には拠点となる場所を持って、週に何度か手伝いに来てもらえるような体制が作れたらと考えています。
地域の人たちとも協力しながら、もっと開かれた活動にしていきたいですね。
Q.最後に、譲渡会に興味を持っている方や、これから動物を家族に迎えようと考えている方に向けて、メッセージをお願いします。
とにかく気軽に、まずは見に来ていただけたら嬉しいです。
「とことこ」は猫ちゃんやわんちゃんたちに新しい家族を見つけてあげるために活動しています。
この子たちが幸せになることが1番の目標ですし、譲渡会で出会ってくれた方がSNSなどで発信してくださることで、新しいつながりが生まれることも多いです。
とてもかわいくて人懐っこい子たちばかりなので、ぜひお気軽に会いに来てください。
中田ゆうこさん、中田みえさん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました!