No.12

No.12

サポーターが主役になる、鹿嶋に現れたファンの拠点

菊池優さん

サッカー観戦のために鹿嶋を訪れる人々の「滞在時間」を延ばし、試合後の熱気を共有しながら、地域の自然・文化・人に触れてもらう「非日常の延長線」のような場所です。
訪れる人の声を受け取り、地域の方々と一緒に形を変えながら成長していきます。仮設的な自由さと、地域に根ざす温かさ。異物であることを恐れず、新しい鹿嶋の価値を再発見し、編集し、共有していきます。

URL:ホームページMap:宿泊

  • ファンゾーン
  • プライベートサウナ
  • 地域連携

Q.「No.12 Kashima Fan Zone」が生まれた背景からお聞かせください。

鹿嶋という土地には、全国から多くのサッカーファンが集まります。特にアントラーズの試合がある日は大勢の観戦客が訪れますが、実際に宿泊までされる方はとても少ないんです。
多くの方が日帰りで帰ってしまうため、地域に滞在する時間が短く、経済的な効果も限定的でした。
また地域の魅力に触れる機会も乏しいと感じていました。

そうした背景から「宿泊」と「レジャー」を掛け合わせた、新しいスタイルの施設をつくれないかと考えました。
構想自体は東京オリンピックの前から始まっていて、一度はコロナで中断しましたが、KXというプロジェクトの始動が再び背中を押してくれました。
まずは鹿嶋というフィールドで「泊まれるファンゾーン」という仮説を立てて、地域との接点をどう深めていけるかを検証しようと決めたんです。

Q.施設名の「No.12」に込めた意味を教えてください。

「No.12」という名称には、ファンやサポーターを象徴する意味を込めています。
サッカーは基本的に11人でプレーしますが、そのチームを支える存在として「12番目の選手=サポーター」がいるという考え方があるんです。世界中のサッカークラブで、背番号12をサポーターに捧げているチームも多いですよね。

もう1つ「ファンゾーン」という言葉もコンセプトになっているんです。
これはW杯や五輪の際に街中に突如として現れる仮設のコミュニティ空間のことで、対戦相手であっても試合以外ではノーサイドで楽しむ、そんな場所。これを鹿嶋に「常設」できたら面白いんじゃないかと思ったんです。

サッカーだけでなく、なにかに熱中している人、いわば「推し活」をしているような人もここでは等しく歓迎される。「No.12」は、そんな「好き」を応援する場所です。

Q.では、なぜこのような複合型スタイルに至ったのでしょうか?

まず前提として、この場所は「調整区域」と呼ばれるエリアで、建築物を建てるのが難しい地域なんです。だからこそ、トレーラーハウスや車両を使った仮設構造にする必要がありました。
ただそれをネガティブに捉えるのではなく、むしろイベントや用途に応じて自由に使い方を変えられる「変化する空間」として捉えたんです。

さらに今の時代、サウナやメディテーションのようなウェルネス体験は、都内からわざわざ足を運んででも体験したいというニーズがある。
BBQやアウトドア体験も含めて、ただの宿泊施設ではなく、フェスのようにいろんな体験が重なる空間を作ることが、来てもらう動機づけにもなると考えました。

地域にとっては前例のないチャレンジでしたが、行政とも丁寧に協議を重ねて、適切なプロセスで進めています。

Q.なるほど、場所の制約すらも魅力に変えた発想ですね。「No.12」を通じて、鹿嶋のどういった部分を特に発信していきたいと考えていますか?。

1番伝えたいのは「スタジアムの熱と余韻」です。
アントラーズの試合がある日は、鹿嶋は一種の非日常に包まれます。スタジアムでの90分間はすごく特別な時間ですが、終わるとすぐに帰路につき、渋滞に巻き込まれて、その余韻が冷めてしまう。
私自身もかつて都内からサポーターとして通っていたので、その体験はよく分かります。

だからこそ「No.12」はその非日常を引き延ばす場所でありたい。試合後もホームとアウェイのサポーターがここに集い、あのプレーが良かったとか、あの選手がすごかったとか、そんな会話が生まれる場にしたいんです。
加えて海や自然のアクティビティが豊富なのも鹿嶋の強み。サーフィンやボード、BBQなどと組み合わせて滞在を楽しんでもらえたら、この地域の新しい価値に気づいてもらえると思います。

Q.地域との連携については具体的にどんな取り組みをされているのでしょうか?

「No.12」は私たちだけで作った施設ではありません。地元の13社の事業者さんに参画していただき、一緒に創り上げてきたプロジェクトです。
さらに、施設のチラシやクーポンを約80店舗に設置していただき、地域との接点を広げています。

今後は地域のアクティビティ業者と連携して、宿泊者限定のプランを作ったり、地元食材を活かしたBBQやマルシェを企画したり、より地域と接続された体験を提供していきたいです。
単なる泊まる場所ではなく、「地域を体感する拠点」として、地域経済にも還元していければと思っています。

Q.実際に利用された方からの、印象に残っている言葉や反応はありましたか?

「鹿嶋じゃないみたい」という声をよくいただきます。
最初はそれが褒め言葉なのか悩んだこともありましたが、今ではそれがこの施設の意義なんだと実感しています。
地元の方にとっては当たり前の風景や空気感が、外から来た人には価値として映っている。そのギャップを埋める「翻訳装置」として、この施設が機能しているのかもしれません。

異物であるからこそ、気づきを与えられる。だからこそ地域の価値を外からの目線で再認識してもらい、その声を地元に還元することが私たちの役割の1つだと思っています。
食材も少しずつ鹿嶋のものを取り入れていく予定で、今後さらに地域の魅力を打ち出していきたいですね。

Q.今後この施設を通じてどんなビジョンや文化を鹿嶋にもたらしていきたいですか?

私たちは「新しいものを生み出す」ことよりも、「今ある価値を編集し、伝える」ことに重きを置いています。
鹿嶋にはすでに魅力的な要素があるんです。でも、それが分かりやすく表現されていなかったり、伝えきれていなかったりする。
だからこそ、外から来た方にも伝わる形に「編集」して届けたいと思っています。

また、この街は若者が集まる場が少ないので「No.12」が20〜30代にとって居心地のいい空間となり、地域に若い文化が根付くような拠点になれたら嬉しいです。
サッカーやサウナ、アウトドアに限らず「好き」を持った人が集まる場所でありたい。その先に、鹿嶋の新しい文化が育っていく可能性を感じています。

Q.では最後に「No.12が気になる!」と思っている方に向けて、メッセージをお願いします。

「なんだかよく分からないけど気になる」という方、ぜひ一度覗いてみてください。実際に多くの方から「やってるのか分からなかった」と言われることもあるんですが、ちゃんと営業しています(笑)。
宿泊なしでカフェやサウナだけの利用も可能ですし、買い物やちょっと見学に来ていただけるだけでもOKです。

この施設は「完成品」ではありません。訪れてくださった方の声やアイデアが反映されて、日々アップデートされていく、みんなで育てる空間です。
鹿嶋という地域に少しでも興味がある方「ちょっと寄ってみようかな」くらいの軽い気持ちで構いません。皆さんの好奇心が、この場所の未来をつくっていきます。

菊池優さん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました!

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