愛友酒造

愛友酒造

伝統と革新が醸す、日本の豊かな恵みを込めた潮来の酒造

兼平理香子さん

茨城県潮来市の地で江戸時代から続く、地域に根ざした酒蔵です。友を愛する思いを込めた酒名と、「四海皆兄弟」という社是のもと、日本酒が人と人をつなぐ存在であってほしいと願っています。かつては閉ざされた蔵だったからこそ、今は「知る・感じる・楽しむ」を味わえる場に。
日本酒は難しく考えず、自分の感性や好みで選んでいいもの。そんな新しい楽しみ方を、愛友酒造からお届けします。

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Q.まずは、愛友酒造の創業の背景についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

愛友酒造は、もともと地主であった初代・常七(つねしち)さんが、米を活かした麹屋としてスタートしたのが始まりです。その後お酒づくりにも挑戦するようになり、今の場所に蔵を移して本格的に酒造りを始めました。

代を重ねる中で名前が一時改まったこともあります。これは家系図の中に同名の人物がいたのではないかという話があるんです。そういった変遷を経て、私は現在で8代目になります。
父が亡くなったのが私が10歳の頃で、その後は母が約40年近くにわたり酒造りを支え、2015年に私が引き継いでからちょうど今年で10年を迎えます。

Q.代々受け継がれてきた中で、「愛友」という酒名や「四海皆兄弟」という社是には、どのような意味が込められているのでしょうか?

「愛友」という名前は創業当時から大切に使われてきたもので、「友を愛する」という思いが込められています。
そして社是の「四海皆兄弟」は、中国の古典に出てくる言葉で、四海とは世界中のこと。お酒を介して、世界中の人々が兄弟のように仲良くなれる、そんな願いを表しています。

また、蔵のロゴには「髭文字」という書体を使用しています。これはお酒の業界で昔から使われてきた独特の文字で、線のはねや数を7・5・3に整えることで縁起を担ぐ、日本らしい文化的な意味合いも持っています。

Q.「友を愛する」という名の通り、地域とのつながりも大切にされているとのことですが、潮来という土地で酒造りを続けてこられた理由はなんでしょうか?

1番の理由は「水」ですね。大神社の「思井戸(おもいど)」という湧水があるのですが、私たちの蔵の井戸水とその成分がほぼ同じだと言われているんです。近隣の方々もこの水を汲みに来るくらい、地元ではおいしい水として知られています。
この恵まれた水があったからこそ、この地で酒造りを続ける意味があると思っています。

Q.お米の選定において、特に大切にされていることは何でしょうか?

できる限り地元の素材を使いたいという気持ちは常に大切にしています。茨城県内で育ったお米を中心に、山田錦や雄町などの産地の酒米も取り入れながら、その年に手に入るお米の特徴を見極めて、最適な造り方を考えています。
素材が年ごとに変化する中でも、それぞれの持ち味を活かして仕込むことを心がけていますし、そうした柔軟さが小さな酒蔵ならではの強みだと思っています。

Q.日本酒造りの技術継承はどのように行われているのでしょうか?

以前は杜氏さんが蔵に来ていて、私が二十歳を過ぎた頃からは岩手の南部杜氏さんが仕込みをしてくれていました。そうした方々の技法を取り入れ、教えてもらいながら、現在の造りに至っています。
特に決まった修行や形式的な継承方法があるわけではなく、自分たちで得た知識を、自分たちの蔵に合った作り方として編み出し続けています。

Q.季節限定のお酒ではどのような工夫をされていますか?

季節によって食べるものが変わるように、飲みたいお酒の味わいも変わってきます。夏は爽やかでスッキリしたもの、冬はコクがあり温めて楽しめるようなもの。
うちの日本酒は、冷やしても燗にしても、それぞれで違った顔を見せてくれるのが特長です。温めたらまるで別のお酒のようになるという驚きを、ぜひ味わってもらいたいと思っています。

Q.酒蔵見学を30年も前から毎日無料で開催されているとのことですが、どのような思いが込められているのでしょうか?

もともと酒蔵という場所はとても閉鎖的で、外部の人や女性、子供は立ち入り禁止という雰囲気がありました。
私自身も子供の頃は入口の水場までは行ったものの、中に入ったことは1度もなく、母も父の死後に初めて蔵に入ったんです。昔は「よそ者・女性・子供は入るな」という時代でした。

でも、お酒って誰にとっても身近な存在なのに、どうやって作られているかは知らない人がほとんど。
酒離れが進む中で、そうした閉ざされたイメージを払拭し、日本酒がどうやって生まれるのかを知ってもらう場として酒蔵見学を始めました。
お酒は楽しいもの、自由なものです。おいしいものだと知ってもらうきっかけになればと思っていますし、日本人が育んできた発酵文化の魅力も一緒に感じていただきたいと考えています。

Q.最後に、愛友酒造のお酒をこれから手に取る方や潮来を訪れる方へ、メッセージをお願いいたします

日本酒はなんとなく難しい、種類も多いしわからないと思われがちなんですが、もっと気軽に手に取ってほしいです。試飲できる機会もありますし、見た目やラベルの印象で選んでも良いと思います。
贈り物でも、自分が「これいいな」と思ったもので十分。
潮来に来てくださった方には、ぜひ地元で作ったお酒を楽しんでいただきたいですし、食事やお土産としても気軽に取り入れてもらえたらうれしいです。

兼平理香子さん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました!

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