福祉タクシーにこあ（NICOA）

Q.今まで、どのようなお仕事をされてきたのでしょうか。

介護業界では22年の経験があるんです。最初は特別養護老人ホームで10年間、現場で高齢者の生活を支える仕事をしてきました。
その後はグループホームに移り、1年半ほどは管理者と現場の両方を経験しました。さらに地元に近いグループホームでも勤務し、夜勤などで現場を支え続けてきました。

いずれの職場でも、入居者の方々のお世話や生活介助が中心で、一緒にご飯を作ったり、できないことをお手伝いしたりと、身近で寄り添う仕事を長年続けてきました。

Q.長く介護の現場で働かれる中で、特に印象に残っている出来事や、利用者さんとの心温まるエピソードはありますか。

若い頃、プライベートで落ち込んでいた時期に利用者さんへ相談したことがありました。すると「おめえなら大丈夫だよ」と励ましの言葉をいただき、涙が出てしまったことがあります。

立場が逆のようですが、利用者さんに助けてもらった経験は強く心に残っています。
その方が亡くなられた時はとても辛かったですが、それも含めて人とのつながりの大切さを実感しました。

Q.介護保険外のサービスについて、福祉タクシーだけでなく庭の草刈りや家事手伝いなど幅広いサービスを取り入れられたのはなぜでしょうか。

母が飲食店を営んでいた関係で、飲食の仕事をした経験があります。また、掃除業や電気関係の仕事も経験しており、網戸の張り替えやエアコンの取り付けまで一通りできます。
これまでの経験を総合的に生かせば、利用者さんの生活全体をサポートできると考えたんです。
点と点だった仕事がつながって、今の形にまとまってきたと感じています。

Q.特に心がけていることや、大切にしていることはありますか。

自分の座右の銘は「にこにこ ありがとう」です。
利用者さんや周囲の方がニコニコしていてくれると、自分も嬉しくなりますし、ありがとうという言葉は自然と口から出る大切な言葉です。

後輩から「遠峰さんって本当によくありがとうって言いますよね」と言われたこともあり、それが自分らしさだと思っています。どんな仕事でも笑顔と感謝を大事にしています。

Q.鹿嶋市で開業された理由と、この地域の方々にどのようなサービスを届けたいと考えていらっしゃいますか。

自分が生まれ育った鹿嶋で、恩返しをしたい気持ちが強かったからです。この地域は車社会で、高齢になっても運転を続ける方が多く、交通手段の確保が大きな課題だと感じています。
別荘地も多いため、1人暮らしになってしまう高齢者も少なくありません。
そうした方々の生活を支え、安心して暮らしていただけるようにサポートを届けたいと思っています。

Q.応援してくださる方が多いのは素晴らしいですね。今後、さらに取り組んでいきたい活動や新しいサービスはありますか。

今後は介護保険外のサービスをもっと広めていきたいと考えています。
介護保険内のサービスはできることに制約が多く、利用者さんが本当に困っていることに手を差し伸べられない場面が多いのです。
実際、施設で働いていると、日常生活の細かい部分に困っている方が多いのを目の当たりにしましたが、保険制度の枠内では「それはできません」と断らざるを得ないことが多いんです。

保険外であれば、必要な時に必要なサポートを提供できます。自宅で最後まで暮らしたいという方の思いを叶えるためには、柔軟に対応できるサービスが必要です。
自由度の高いサービスが地域に浸透し、誰もが当たり前に利用できるようになることを目指しています。

田舎の方ほど「人に迷惑をかけたくない」という気持ちが強いので、その思いを尊重しながら支えていきたいと考えています。

Q.最後に、この記事を読んで初めて「福祉タクシーにこあ」を知った方へ、伝えたいメッセージをお願いします。

通院やお買い物はもちろん、食事や外出の送迎、通院時の付き添いや介助、家事の手伝い、庭の草刈りなど、生活の中で困ったことに幅広く対応しています。
介護保険外の自費サービスですが、その分自由で柔軟に対応できるのが特徴です。

日々のちょっとした困りごとでも気軽にご相談いただければ嬉しいです。笑顔と感謝の心を大切に、皆様の安心と笑顔をお手伝いさせていただきます。

遠峰　健さん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました！