偶吟

偶吟

日本茶と日本酒で満たされる、小さな旅先

旦さん

日本茶と日本酒という2つの嗜好品を通じて、訪れる人々に心と体の癒しを届ける場所です。手作業で仕上げた温かな空間には、店主が育った築100年の家で感じた昔ながらの温度感が息づいています。
足を運んでくださる方へ、まっすぐで丁寧な「おいしい」を届けたい。そのために、全国各地から本当に良いと思ったお茶やお酒を厳選し、日替わりメニューで旬や出会いの喜びを表現しています。ここで過ごす時間が、日常の疲れをほどくひとときとなるよう願っています。

URL:InstagramMap:飲食

  • 日本茶
  • 日本酒
  • 癒しの空間

Q.まずは、偶吟を始められたきっかけを教えてください。

元々、自分の手で何かを表現できる場を作りたいという気持ちをずっと持っておりました。
これまでの自分を振り返り、なにができるのかを考えたとき、20歳で取得した日本酒の資格とその翌年に取得した日本茶の資格が浮かびました。
どちらも仕事のためではなく興味や趣味として学んだものでしたが、日本酒はもともと好きで、日本茶は学び始めると奥深さに引き込まれていったんです。

お店の名前「偶吟」は、中国の詩集で偶然出会った言葉から取りました。「水は方円の器に従う」というものです。環境によって形を変える水のように人や物事も変わるということわざに心を打たれ、その出典を辿る中で見つけたのが「偶吟」という言葉です。
偶然の出会いを吟じるという意味もあり、この店の姿勢や空気感をそのまま表す名前になりました。

Q.ご自身の資格や経験を活かす形でお店を始められたとのことですが、潮来という場所を選ばれた理由を教えていただけますか?

わざわざ足を運んでいただける場所にしたかったからです。東京のように通りすがりで、特に目的がなくてもふらっと入れる場所ではなく、目的を持って求めてきてくださる方に精一杯のおもてなしをしたいと思いました。
実際に訪れてくださる方は、茨城や千葉を中心に遠方からも多く、Instagramを見て来てくださいます。車で1時間半かけて2日連続で来られた方もいらっしゃって、本当にありがたいです。

Q.内装をすべてご自身の手作業で仕上げられたのはなぜでしょうか?

人の手から生まれるものには、機械にはない独特の温かみがあると感じています。せっかく自分で作れるなら、その温もりや思い、好みを空間に込めたいと思いました。
業者さんに依頼すれば整った空間は作れますが、自分の思い描く形や細部へのこだわりを反映するには、やはり自分で手を動かすことが一番です。

昔は何でも手作業で行っており、実際、やってみないと分からないことも多いものです。ホームページにも載せている「文明を肌で学ぶ」というのは、まさにそうした体験を通じて得られる感覚を大事にするという意味です。
まずは自分でやってみること、それが私の空間づくりの原点です。

Q.自らの手で作られた温かみある空間ですが、そこに込めたテーマやこだわりはなんでしょうか?

テーマは「洗練された中にしみじみとした懐かしさを」です。
私が育った家は築100年ほどの一軒家で、夏は扇風機、冬は火鉢という環境でした。そこには、今ではなかなか味わえない昔ながらの温度感や人の営みの温かみがありました。
その感覚を、この場所でも体感してもらいたいと思ったのです。

普通に暮らしていると出会えない懐かしさをあえて空間に取り入れ、自分が最も居心地よく感じられる状態に整えています。
お客様がここでその雰囲気を感じ取り、日常から少し離れた時間を過ごしてくださることが、なにより嬉しいことです。

Q.提供されている日本茶や日本酒のこだわりをぜひ教えてください。

日本茶や日本酒で私が惹かれるのは、水を大切にしていることや、自然のものだからこそ気候や季節によって味わいが変わるところです。
そして、作り手の方が一年を通して手間と時間をかけて仕上げている、その背景にある思いにも強く惹かれます。こうした日本の伝統に触れるたび、日本に生まれたからには日本のものを学びたいと感じ、日本茶と日本酒を選びました。資格を取ったのも、仕事のためではなく純粋な興味からです。

個人的に、和菓子もいつか本格的に学びたいなと思っています。

Q.日本茶や日本酒と和菓子、とても合いそうですね。お茶やお酒を選ぶ際にはどのような基準で厳選されていますか?

日本全国、地域は関係なく自分が心からおいしいと思えるかどうかです。どうしても好みに偏りますが、嘘のないおすすめをしたい。甘みや旨みのあるお酒が好きで、辛口は少なめです。
お茶やお酒を提供する際には、作り手の背景や味の変化の理由などもできる限り伝えるようにし、ただ飲むだけではなく、体験として楽しんでもらえることを意識しています。

Q.本当においしいと思えるものを届けたいという姿勢は、日替わりの「気まぐれメニュー」にも表れているように感じます。

「気まぐれメニュー」では、旬の食材やその時出会った食材を取り入れています。旅行先から持ち帰ったものや、お客さまからいただいた食材がきっかけになることもあります。常連さんは「今日はなにがあるんだろう」と楽しみにしてくださり、全メニュー制覇を目指す方もいるほどです。
お茶にもお酒にも合うおつまみから甘味まで幅広く、毎回新しい組み合わせを考えることが、私にとっても楽しみになっています。

Q.最後に、これから訪れたいと思っている方へメッセージをお願いします。

肩肘張らずに、ちょっと疲れた時や1人でゆっくりしたい時に「ここがある」と思い出してほしいです。嫌なことを忘れて過ごせる、癒しの時間と空間を用意してお待ちしています。

訪れる方の中には、日常の喧騒を離れてここで過ごすことを楽しみにしてくださる方も多く、その期待に応え続けたいと思っています。
営業時間やその時々で変わるメニューはSNSで随時更新していますので、ぜひ気軽にのぞいてみてくださいね。

– お店のおすすめ商品 –

取材の際にいただいたのは、静岡の被せ茶。目の前で丁寧に淹れてくださいました。
被せ茶とは玉露と煎茶の良さを併せ持った特別なお茶で、日光をあえて遮ることで旨みがぐっと引き立つそうです。口に含むとまろやかで奥行きのある味わいが広がり、ふくよかな香りとほのかな甘みが心落ち着く1杯でした。

そして今回購入したのが、過足さんによる短歌集『日記』と、『ミスドスーパーラブ』。
過足さんは元々ひたちなかのカフェで読書会をされていましたが、お客さんとして偶吟を訪れた際、「こちらでも読書会をやってみませんか?」という会話から、この場所での読書会も始まったというご縁があるそうです。

『日記』は日常をやさしく切り取った言葉が並び、読むたびに心がほっこり温まります。
『ミスドスーパーラブ』は、26種類のドーナツをテーマに短歌や小説、エッセイが収められた遊び心あふれる1冊。旦さんも執筆に参加しており、旦さんはホット・セイボリーパイ BBQフランクフルトについて書かれています。ページをめくるごとに異なる味わいの物語が広がり、まるでドーナツを1つひとつ味わうように楽しめました。

旦さん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました!

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