涼

体にやさしい旬野菜とパンでほっと心をほどくお昼ごはんを
母と娘
母と娘の2人の親子で営む小さなごはんやさん。お母さんが子どもに食べさせるような、あったかくてやさしい味を大切に、家庭料理とパンをお届け。
ここは食事の場であると同時に、地域の人たちがつながる場所。おいしい時間を共有することで、心も身体も元気になれる。「またここで会おうね」と言ってもらえる、そんなお店でありたいと願っています。
URL:InstagramMap:飲食
- 家庭料理
- 手づくりパン
- 地域の野菜
Q.まず、「涼」のこれまでの歩みについて教えてください。
お母様:今のお店は3軒目になります。最初に始めたのは「れん」という名前の喫茶店で、「蓮」という漢字一文字の店名にしようとしていました。
でも、そのときお世話になっていた設計士さんと相談して「涼(りょう)」という名前に決まりました。
なんとなく響きが涼やかで、落ち着く感じがあって気に入っています。
夫が洋食のコックだったこともあって、私が主婦をしながら一緒に鹿嶋に移り住み、喫茶店と夜の居酒屋の間のようなお店からスタートしました。
周囲はスナックが多かったので、ちょっと夜遅くまで開けていたこともあります。そこからだんだんと今のスタイルに落ち着いて、今ではお昼だけの営業で、無理なく楽しめる形で続けています。
Q.今は親子で一緒にお店を切り盛りされているとのことですが、どんな経緯で一緒に働くようになったのでしょうか?
娘さん:私はもともと東京で飲食店の仕事をしていました。でも母から「鹿嶋でまたお店をやりたいから、帰ってきて一緒にやらない?」と声をかけてもらったんです。
そのときちょうど、子供もある程度手が離れてきていたタイミングで、自分自身も新しい形で飲食に関わっていけるんじゃないかと思って戻ってきました。
今は私がパンを焼いたり、お昼の営業を母と一緒にやっています。
以前は夜もやっていましたが、今はお昼の2〜3時間だけで、知り合いや地域の方がふらっと立ち寄っておしゃべりして過ごしてくれるような、そんなお店になっています。


Q.ランチのメニューを考えるとき、特に大切にしていることは何でしょうか?
お母様:いちばん意識しているのは、「普通のお母さんが、子どもに食べさせるような家庭の味」です。あたたかくて、やさしくて、どこかほっとできるような、そんな料理を出したいと思っています。
ランチには必ず3〜4種類の小鉢をつけていて、できるだけ野菜を中心にしています。
旬の野菜を使いたいので、毎朝3軒ほど直売所を回って、採れたての新鮮な野菜を買ってくるんです。
スーパーの野菜は時間が経ってしまっていることもあって傷みが早いですが、直売所の野菜は収穫してすぐ持ち帰れるからやっぱり違いますね。
素材にはこだわっていますが、あまり気張らず、家で作るような気持ちで用意しています。
Q.鶏ささみ梅肉はさみあげ定食など、特に人気のメニューが生まれた背景も気になります。
お母様:このメニューは、前のお店で夜の営業をしていたときに考えたものなんです。梅肉でさっぱりと仕上げた揚げ物ってあまりないので、お客様からも「これ、おいしい!」って言っていただけて。
今の店では最初は出していなかったんですが、昔から来てくださっていたお客様が「前のお店の梅肉のやつ、また食べたいな」とリクエストしてくださって、それで再登場しました。
今ではテイクアウトで買っていかれる方も多くて、お弁当に入れてくださったり、夕飯にもう1品という感じで使っていただいています。嬉しいですね。

Q.娘さんはパンづくりをされていますが、始めたきっかけにはどんな思いがあったのでしょうか?
娘さん:実は昔、コンビニのおにぎりがすごくおいしくて、何度も食べていた時期があったんです。
でも「なんでこんなに食べたくなるんだろう?」って調べてみたら、添加物がたくさん使われていて、その中に中毒性のあるものもあると知ってショックでした。
ちょうど息子が生まれたばかりの頃で、「自分の子どもにはちゃんとしたものを食べさせたい」と思ったんです。そこから、体に良い素材で、安心して食べられるパンを作りたいという気持ちが芽生えて、今のパンづくりにつながっています。
Q.素材や味わいにはどんな工夫をされていますか?
娘さん:小麦粉は北海道産と九州産のものをブレンドしています。それぞれの産地で特徴が違って、北海道だけだとしっとりしすぎたり、九州のものだけだと少し軽すぎたりするので、いいバランスで混ぜるとちょうど良いパンになります。
他にも全粒粉やライ麦なども取り入れて、食物繊維やミネラルもしっかり摂れるようにしています。
パン屋さんのようなふわふわで甘いパンではなくて、ちょっと硬めだけど毎日食べられて、体に負担が少ないパンを目指しています。
食べたときに胃が軽くて、体が「ありがとう」って言ってくれるような、そんなパンを作りたいですね。

Q.地域の方との関わりの中で印象に残っていることはありますか?
お母様:ここは食事をする場所であるだけじゃなくて、みんなが気軽に来て、おしゃべりして帰っていく場所でもあります。
今はお昼の数時間だけしかお店を開けていないのですが、その中でも高齢の方から若い世代の方まで、幅広く来てくださって嬉しいです。
高齢の方は「毎日自分でご飯を作るのが大変」と言って来てくれたり、若い方は「おいしかったから家で真似してみたい」と言ってくださったり。家庭の味を食べて、ホッとできる時間を持ってもらえたら、それだけで嬉しいです。
Q.最後に、まだ「涼」に来たことがない方に向けてメッセージをお願いします。
お母様・娘さん:いつもこのお店に来てくれるお客様には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
元気なお顔を見せてくださったり、「おいしかったよ」「ありがとう」って声をかけてもらえると、それだけで頑張ろうって思えるんです。
おいしいものを作って、それを食べて「ありがとう」って言ってもらえるって、本当にありがたくて、幸せなお仕事だなと思います。
まだ来たことがない方も、ぜひ気軽に立ち寄ってみてください。あたたかいごはんと、あたたかい空気でお待ちしています。
お母様・娘さん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました!