鹿嶋琉球太鼓

鹿嶋琉球太鼓

太鼓の音が、自分を変えるきっかけになる

潮騒ジョブトレーニングセンター 鹿島琉球太鼓さん

依存症や生きづらさを抱える仲間たちが、太鼓を通じて自分を取り戻し、地域とつながるためのチームです。「やってみたい」気持ちを大切にし、できる・できないで線を引かず、誰もが挑戦できる場をつくっています。
太鼓の音が仲間を支え、拍手が自己肯定感へと変わる。ただの演舞ではなく、人と人が向き合うきっかけになる存在を目指しています。

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  • 琉球太鼓
  • エイサー
  • 依存症回復

Q.鹿島琉球太鼓は、どのような方たちが集まっている団体なのでしょうか?

僕たちは、依存症の回復を目的とした「潮騒ジョブトレーニングセンター」のメンバーが中心になって活動している団体です。

メンバーの9割は、アルコールや薬物、ギャンブル依存など、何らかの依存症を経験した当事者です。
中には摂食障害やジェンダーの問題を抱えている仲間もいますが、最近では小学生や地域の50代の方など、外部から参加してくれる人も増えてきました。

活動は12年前、沖縄の伝統芸能「エイサー」に出会ったことをきっかけに始まりました。地域のイベントで披露することを目標に、仲間たちと見よう見まねで練習を重ねていきました。今では、太鼓を通して自分自身を取り戻し、仲間と支え合いながら地域とつながっていく、そんな思いで活動しているチームです。

Q.立ち上げ当初はどのような思いで活動を行っていましたか?

当時はまだ人数も少なくて、ほんとに「できることから始めよう」という気持ちでした。
エイサーの知識も経験もなかったですし、体育の時間みたいな感覚で、DVDを見ながら真似して動いてました。

ただ、地域のお祭りで初めて発表する機会をもらって「自分たちが叩いた太鼓を見て喜んでくれる人がいるんだ」って実感したんですよね。それがすごく嬉しくて。
そこから、ただの練習が目的じゃなくて、「人前で発表したい」「もっといいものを作りたい」って、思いが強くなっていきました。

Q.地域での発表が増えていった中で、地元とのつながりはどのように広がっていったのでしょうか?

最初のころはイベントに出ても演舞が終わったらすぐ帰る、っていう感じだったんです。
でも、ある時「自分たちの出番だけじゃなくて、イベント全体を大事にしよう」と考えるようになって。

それからは、開場前の準備から参加したり、司会を引き受けたり、会場の片付けを手伝ったりしています。そういうことを続けるうちに、「あの団体が来てくれると助かる」って言ってもらえるようになりました。
太鼓を叩くことだけじゃなく、イベント全体を盛り上げる存在として認めてもらえたのがうれしかったですね。

Q.地域の方との関わりの中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

いろいろあるんですけど、ひとつ挙げるとすれば、神栖ぶっちゃけ祭りでの出来事です。
演舞を見た小学生の女の子が「私もやってみたい!」って言ってくれて、お母さんと一緒に来てくれるようになったんです。

施設のことも説明したんですけど「全然怖くない、むしろかっこいい」って言ってくれて。それが本当にうれしかったです。
あと、50代の男性が「孫にエイサーを見せたい」という理由で参加してくれたこともありました。そうやって地域の方が自然に入ってきてくれるのが、活動の励みになっています。

Q.そういった幅広い人が関わるようになった中で、印象的な変化はありますか?

ありますね。特に覚えているのが、身体に障害がある仲間が「自分もやりたい」と言ってくれた時のことです。
以前なら「無理じゃないかな」と思ってしまっていたんですが、潮騒ジョブトレーニングセンターの理事長が「太鼓が無理でも旗持ちでもいいし、そこにいるだけでいいんじゃない?」ってアドバイスをくださりました。

実際にやってみたら、その子がすごく努力して、今では太鼓も叩けるようになったんです。発表会で堂々と演舞してる姿を見た時は、もう本当に感動しました。
「できるかできないか」じゃなくて「やってみたい」って気持ちを大事にするようになってから、メンバーの数も一気に増えました。

Q.琉球太鼓の魅力はどんなところにあると思いますか?

僕自身は「達成感」と「感謝」ですね。
練習して、うまくなって、人前で発表して、拍手をもらう。その1つひとつが自分にとって大きな力になります。

依存症って自己否定がすごく強いんですけど、太鼓を通して「自分もやっていいんだ」「ありがとうって言ってもらえるんだ」って実感できる。それが自己肯定感に変わっていくんですよね。
だから太鼓ってただの音じゃなくて、自分を取り戻すツールでもあると思っています。

Q.演舞の中で表現されるものにも、そういった思いが込められているのでしょうか?

はい。ただリズムに乗って叩くだけじゃなくて、曲ごとの「意味」をしっかり伝えたいと思っています。

たとえば、沖縄の曲には戦争の記憶や、命を大切にする思いが込められているものが多いんです。僕たちは今年、沖縄に研修にも行ったんですが、そこで感じたことを演舞にも反映しています。

衣装や振付もオリジナルで、みんなで考えています。
太鼓だけじゃなく、動きや表情も含めて「伝える演舞」を意識しているところが、僕たちのこだわりです。

Q.文化や歴史も一緒に届けているんですね。今後、どんな活動を目指していきたいと考えていますか?

活動をどんどん広げるというよりは、まずは中身をもっと充実させていきたいというのが一番の目標です。
社会には僕たちのような存在を必要としている人がたくさんいると思うんです。だから、自分たちの回復も含めて、地域の中で「なくてはならない存在」になれたらいいなと。

夢を言えば、鹿島アントラーズのスタジアムで演舞できたら最高です。
あと、いつか「鹿嶋太鼓祭り」を開催して、いろんな地域の団体と一緒に、太鼓で鹿嶋を盛り上げられたらいいなと思っています。

Q.その夢、ぜひ実現してほしいです!
最後に、この記事を読んで興味を持った方や、今なにかに悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。

依存症の方でも、そうでない方でも、まずは気軽に知ってもらえたらうれしいです。
太鼓を通して「こんな自分でも拍手をもらえるんだ」「仲間がいるっていいな」って感じられると思います。

依存症も風邪やがんと同じで「治療できる病気」なんです。
太鼓の音が、自分を変えるきっかけになる。怖がらないで、興味を持ってもらえたら嬉しいし、もし「やってみたい」と思ったら、ぜひ気軽に声をかけてください。エイサーはそのきっかけになりますし、僕たちはいつでも歓迎しています。

潮騒ジョブトレーニングセンター 鹿島琉球太鼓さん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました!

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